当社は、Intel社認定の「システムバリデーション」取得数では17件(2000年7月現在)となっていて、他のメモリモジュールメーカを圧倒し、半導体メーカにも匹敵している状況です。当社のRIMMはすべてDirect Rambus DRAM搭載のRIMMモジュールとなってます。「システムバリデーション」の認証を受けるには、何度も繰り返される厳しい検証をパスする必要があります。また、「システムバリデーション」に先立ち、Intel社およびRambus社による「データシートバリデーション」も、国内のモジュールメーカに先駆けて全機種取得しています。

これらの認定取得にあたっては、さまざまな面 で苦労をしました。 今回のRIMM規格は、Rambus社、Intel社、DRAMメーカと一部のモジュールメーカによって仕様を決定し、その後に我々にも情報が公開されるといった流れでした。この時点で仕様策定に参画していた一部のUSモジュールメーカとは情報入手に関してハンディがあり、当社としては不利だったのです。 Rambus開発をはじめて、最初に直面したのはサンプル部材の問題でした。とにかく、何もないところからのスタートでしたから、まず試作を作るにも作るためのサンプルが非常に入手しにくく、RIMM1枚をつくるのに、DRAM8個が必要なのですが、その8個だけのために、九州へ飛ぶ、韓国へ飛ぶということもありました。とは言うものの、この問題に関しては、当社はまだ恵まれているほうなのですよ。以前から当社はDRAMのビッグユーザーでしたので、多少は無理を聞いてもらえましたから。それまでの実績がものをいったということになりますね。

当社は現在、N社、S社、T社という3社からDRAMを調達し、RIMMモジュールの生産を行っておりますが、複数のDRAMメーカを認定、採用し量産しているのは世界でも当社1社のみです。これは、安定した生産、供給を実現するという大きなメリットを生むわけですが、デメリット(?)も出てきます。例えば、DRAMメーカ毎にパッケージサイズが違うためそれぞれに専用設計が必要となり、生産上も部材の共通化に関してマイナス要因となります。また、Rambus DRAMに採用されているCSPパッケージの構造、強度、実装時の高さ、信頼性(歩留まり)等のデータを各社毎に集め、分析し、さらにマルチベンダーとしての共通化といった課題をクリアする必要もありました。これは、DRAMメーカにはない苦労の一つですね。

試作品をつくったら、次はその評価をしなくてはなりませんが、この段階でまたひとつクリアしなくてはならない壁がありました。それまでは100MHzという周波数における環境で評価テストをすればよかったものの、今回のRambusでは一気に800MHzと8倍のスピードに対応したハイエンドのメモリテスタが必要になったわけです。ですが、Dram単体ではなくモジュールの状態で、それだけのスピードに対応した測定を行えるメモリテスタはまだどこのテスタメーカも開発できていなかったのです。そこでアドバンテスト社と当社が一緒に、半年以上かけてモジュールでも測れるようチューニングを行い、新たなテストヘッドを共同開発したのです。このテスタの開発・稼働が実現できたことで、またさらに次の段階の新しい可能性も拡がったというふうにも思っています。 あと、やや細かい話になるかもしれませんが、Rambusは信号が入ってから出るまでのTPDという遅延時間が厳しく定められているのですが、通 常の基板材料ですとそれをクリアできません。つまり、RIMMの基板自身がRambusではそれまで使用していた通 常(PC100等)のものでは、役不足なわけです。そこで、私たちは基板の材料そのものから、基板メーカとともに一から開発することを選択したのです。通 常、新しい基板を作るのに比べ、数倍のマンパワーが必要となりました。

私の所属するメモリ事業部は、今回のRambusにより、開発環境もより一層充実し、技術力やノウハウも格段に向上したと思っています。また、当社では、DDRに関してもいち早く開発に着手し、NotePC向けDDRモジュール200ピンSO-DIMMのガーバー開発に参画しJEDEC公認のリファレンスガーバーとして9月のJEDECにて正式に採用されました。これもRambusでの開発ノウハウの現れであり、今後は小型化、高速化というメモリモジュールの流れの中で、Buffalo専用高速SDRAMの開発(オリジナルCSP等)により、ユーザーの皆様が高性能をより安く手に入れられるものを出していきたいと思っています。あと、もちろん、常に世界トップレベルの技術力を維持していくことも忘れません。

(2000.9.18 談)


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