石丸正弥

 


「NETWORLD + INTEROP 2000 TOKYO」で、当社の無線LAN「Air Station」がプロダクトアワード部門「企業向けインフラ構築製品 Best of Show Award」をいただいたわけですが、この受賞は非常に嬉しかったです。と言いますのも今でこそ、無線LAN製品はPCメーカからネットワークベンダー以外の周辺機器メーカまで、実に多くのところが商品化していますが、今からつい2年ほど前までは、無線LANはきわめてマイナーな製品で、現在のように一般企業のオフィスや家庭で使用されることはまずありませんでした。それなら、どんなところで無線LANが使われていたかと言えば、物流倉庫のような物理的に線を引けないFA系の企業に限定されていましたね。その理由には高い価格、遅い通信速度、そして使いづらさがありました。
電話がそうであるように無線LANの一番の特徴である"無線"でネットワークを構築できることは非常にメリットが大きいのです。そこで、なんとかその利便性を一般企業のオフィスや家庭でも使用してほしいと考え、従来のFA系企業向けであった無線LANを一般企業や家庭に向けた製品、つまり今までの無線LANと同じテクノロジーを使いながら、圧倒的に使いやすく、かつ低価格で世に送り出しました。それは当社が一番早かったのです。
当社が初めて無線LANを販売し始めたのが昨年の1月からですから、これまでだいたい足かけ1年半くらいの期間で、この「Best of Show Award」受賞にまで到達できたことになります。この約1年半というのは、まさに当社が国内で無線LANを普及、浸透させてきた歴史だと思っていますから、それを認めていただいたのが今回の受賞であると考えています。
 
今回の受賞はインフラ構築製品、つまり企業ユーザを対象とした賞であるわけですが、一般 家庭においても、もう間もなくHOMEネットワークという考え方が加速度的に認知・注目される時期になってくると思います。その理由はパソコンそのものが低価格化し、一家で1台から一人で1台のパソコンを持つ環境になってきていること。そして、CATVやフレッツISDNなどで家庭においてもネットワークへ常時接続できる環境がかなり整ってきていることがあげられます。しかも、有線LANを敷設するにも一戸建てなら工事費がそれなりにかかるし、マンションも賃貸なら壁に穴を開けることはできませんから、有線では必然的に限界が見えてきます。そこで、やはり無線LANが主流になっていくことになるでしょう。活気づいている、伸びざかりの分野ですから、競争も厳しいですが、逆に業界全体が活性化してますます普及してくれれば、と思っています。
 

当社がNIC(Network Interface Card)を安くしたのが3年くらい前のことなのですが、お客様のなかには、それ以前に当社がネットワーク関連の製品を出していたことをご存知ない方が結構いらっしゃるんです。実は、ハードディスク等のストレージよりも先で今から7〜8年くらい前にはネットワーク関連(LAN)の製品に参入していたのです。すこし昔話をさせていただくと、Windows3.1の頃にはショップでネットワーク関連の製品は全然置いていなかったのですよ。サーバーとかルーターという言葉を出すと、引かれちゃう状況でした。難しいというイメージがあったのだと思います。それに加えて、パソコンやメモリがどんどん低価格化するのに、ネットワーク関連の製品は当社以外の製品も含めて価格が下がらなかったこともあります。そこで当社は施策として、ネットワーク製品をコモディティ化させようと打ち出したのです。コモディティというのは日用品・必需品という意味です。具体的には、使いやすくすることと低価格化です。ただ、機能を省いて価格を下げることはどこでもできることですので、当社は機能はそのまま残し、あらゆる面の見直しを行うことで低価格化を実現しました。今回、「Air Station」が「企業向けインフラ構築製品」特別賞をいただけたのも、こうしたコモディティ化によりスイッチやLANボードなどが広く企業系のお客様や販売店様に認知されていたというこれまでの実績があってこそのものだと思っています。

(2000.8.21 談)


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